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怒りと失望のFC東京戦(H)

ホームで0-4の惨敗、力のある選手が揃っていたのは重々承知していたが、FC東京もリーグ戦5連敗と調子を落としていたチームだ。あわよくば…というサポーターの期待は前半わずか20分足らずで完膚なきまでに崩されてしまった。

 

まず柏の並びは3-4-2-1。新加入のエメルソン、アンジェロッティ、ドッジらが先発しイッペイシノヅカが右WBに、仲間が本来のポジションであるシャドーの位置に入った。大南を起用したのはスピードとパワーに長けたFC東京のアタッカーを抑える狙いがあったのだろう。攻撃を考えれば川口がベストではあったろうが、ネルシーニョは守備をまず考えてきた。
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だが、この選択が裏目に出た。

 

大南はまったく対面のアダイウトンを抑えられず、エメルソンはフラフラと前へ出て行っては裏のケアをおろそかに。まだ連携に関しては不充分さが目立ち、柏のDFラインは完全に統制を失っていた。瞬く間に3点のビハインドを負い、FC東京は一度ギアを緩めた。だが相変わらず前線のFWにロングボールを蹴り込む単調な攻めが続き、一点も返せないまま前半は終了。

 

後半はIシノヅカ→細谷、エメルソン→川口を投入、システムを4-4-2に変えたことで攻め込む時間が増えた。それでもバイタル、ペナルティエリア内に攻め込む機会は限られた。後半8分には江坂がゴール前でボールを持つも狙い澄ましたループシュートはバーの上。

 

引水タイム後はFC東京も立て直し、徐々に柏が攻め込む時間も少なくなってきた。と言うよりそもそもアレだけ攻め込めてる時間でゴールをこじ開けられるようならこんな得点力不足に悩んではいないのだ。終了間際にはFC東京にダメ押しとなる4点目を決められた。

 

今回の試合ではネルシーニョ監督の采配にも不満を感じた。言うまでもなく、最終ラインでまともに連携もできないあの並びにしたのかということだ。実戦を通じてコンディションを調整させる狙いがあったらしいが、リーグ戦、しかも残留争いに巻き込まれている中で順位が近い相手との試合にすることではない。

 

ネルシーニョのマネジメントは試合及び練習で結果を出した選手を使っていくこと。それによりチーム内の競争を促していくのがネルシーニョのやり方のはずだ。結果的にエメルソンは前半だけでお役御免、ネルシーニョ監督には残留争いに巻き込まれているこの状況であの選択が本当に正しかったのがキチンと振り返ってほしいものである。

シーズンの1/3を終えて

こんにちは。2021シーズンの1/3が終わり、試合は1週間空きます。この機会に柏レイソルのシーズン前半戦を振り返っていこうと思います。

 

まず、柏レイソルのリーグ戦13試合を終えての成績は4勝1分8敗、12得点15失点(得失点差-3)、暫定で15位という結果であります。

 

はい、普通に残留争いに巻き込まれております。特に3節以降は6試合勝利無し(1分5敗)という苦しい時期。その後ガンバ大阪大分トリニータ徳島ヴォルティスを相手に3連勝を達成したかと思えばベガルタ仙台アビスパ福岡に2連敗、再び降格圏付近に逆戻り…。

 

今シーズンここまで低調な要因は2つ挙げられます。

①外国籍選手らの合流遅れ

②ビルドアップ能力の欠如

まず外国籍選手はシーズン開始前からMFアンジェロッティ、MFドッジの2名が、シーズン開始後にはFWペドロハウルとDFエメルソンサントスの計4名が加わることが決まりました。ところが政府の緊急事態宣言によって彼らが合流出来たのは4月の下旬、柏は新加入の外国籍選手が4人とJリーグでも最も多かっただけに他のチームより大きめのハンデを背負うことになってしまいました。

 

ビルドアップについては前々から指摘されてきたことではありますが、今シーズンはオルンガがいなくなったことで自分たちからボールを保持して攻める力を身につける必要がありました。しかし2年間も仕込めなかったことが急に出来るようになるわけも無く、相変わらず得点パターンはカウンターに偏ることに。守備をしっかり引いた相手を崩せないので今季は先制点を取られると一気に苦しくなります。リーグ戦に限定すれば、先制されながら勝ち点を取れたのは横浜FC戦での1ポイントのみ。

 

ネルシーニョ監督はなんだかんだ最後には結果を出してくるお方なので、最悪の結果にはならないとは思っています(と言うか願っています)。とはいえ現状課題があるのは明らか。来週のFC東京戦ではなんとか修正をして、勝ち点3を取ってほしいものです。

新生レイソルの船出 vsセレッソ大阪

とりあえず負けた。

 

さすがに戦術の改訂を進めている中で数的不利となっちゃ勝つのは難しい。守備を安定させるためとはいえ、追いかける展開では得点感覚に秀でた呉屋を下げてしまっていたのも痛恨であった。

 

とはいえ立ち上がりは上々であった。
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守備では4-3-3で構え、3トップは中央のルートを消しつつ、3ボランチが前目に奪いに行くことで左はクリスと椎橋、右は呉屋と瀬川で挟みこんで奪い攻撃にシフトしていく。更にSBも攻撃に参加することで前線の厚みを増やしていく。狙いは見て取れた立ち上がりだった。

 

もともと柏はポゼッション時の攻撃にはやや難のあるチームである。ビルドアップ能力に長けたCBの獲得は無く、ゲームメーカー候補のドッジもブラジルナウである。だったら高い位置で奪ってビルドアップ省いちまえ!的な狙いだったのだろう。実際序盤はわりかし上手くいっていた。

 

そしてこの戦術で目を引くのが3ボランチである。ていうかこのシステム、ボランチ3人のタスクがかなり多い。見る限りでも

①守備時は3トップの裏のスペースのカバー

②ビルドアップ時にはDFラインに顔を出すことで数的優位を確保

③攻撃時にはサイドハーフ、あるいはインサイドハーフと化すことでアタッキング面での優位性を担保

 

とまあ高い戦術視野と運動量が求められるポジションだ。なるほど攻撃的な瀬川をボランチで起用したのもうなずける。この4-3-1-2の守備の利点はバイタルエリア(ペナルティエリア手前)にしっかり蓋を出来る点だ。5レーンで見ればゴールに近い真ん中の3ラインをケアできるため、相手は大外から攻めるしか無くなる。

 

一方で課題も見えた。システムの都合上、相手のSBが全然捕まえられないのだ。実際セレッソ大阪戦でも松田や丸橋をボール前進の逃げ道にされているシーンが多くあった。相手がSBからゲームを組み立ててくる場合、誰が対応するのか等は修正が必要だろう。また上島と大南のコンビはビルドアップこそ最も安定する組み合わせだがまだ練度は低く、ラインコントロール等では山下の不在を大きく感じさせた。

 

とはいえまだ新しい戦術に取り組んで3週間である。オルンガの穴を埋めるためにはもう少し時間が必要だろう。新戦力の外国人だって不在なのでもう少し様子見していこうと思う。

2021シーズン、J1順位予想

2021シーズンを予想する上でポイントとなるのは主力の残留具合と新外国人だ。特に今季は東京五輪が開催されるため、昨シーズンにも引けを取らない過密スケジュールとなっている。戦術の修正に掛ける時間がほとんど無いことを踏まえると序盤でスタートダッシュに成功したクラブが圧倒的に有利であろう。

 

1位:川崎フロンターレ

 オフにアンカーのレギュラーだった守田英正が退団し、大黒柱の中村憲剛が引退した。しかし彼らの穴を埋める人材としてジョアン・シミッチ、小塚和季らを補強。それ以外のポジションは昨シーズンの主力が残留し、2連覇は十分可能な戦力となった。また今年もACLはセントラル開催方式のため、例年よりかは負担が小さい。

 

2位:鹿島アントラーズ

 昨シーズンは序盤負けまくってたけど最終的には5位、中盤以降はいつも通りの“強い鹿島”だった。今シーズンはチームにザーゴ監督の戦術が浸透した状態からスタートできるのが大きい。一方で新加入は6人が新卒、2人が新外国人(未だ合流できず)で少なくとも序盤は明確な上積みが無い。

 

3位:FC東京

 FC東京も昨シーズンからの積み重ねがあるチーム。昨シーズンは森重を起用していたアンカーには本職の青木、日本人アタッカーには渡邊らを補強。とは言えベースは守備は森重&渡辺のコンビが、攻撃は外国人選手が中心のチームになるだろう。一方で東京を本拠地とするチームなので新型コロナ&五輪の影響をどこよりも受ける。出来れば左SBの即戦力を獲得したかった。

 

4位:横浜Fマリノス

 昨シーズン最大の得点源であったJr.サントス、エリキの2名が退団したが元々誰か一人に依存した戦術ではない。マルコス・ジュニオール仲川輝人オナイウ阿道らが本来の力を発揮できれば大幅な攻撃力ダウンは避けられるはず。新戦力には岩田智輝、エウベル、レオ・セアラ等が加入。外国人2名は合流が遅れるが岩田の加入でオプションは増えそうだ。

 

5位:名古屋グランパス

 2021年のJリーグで最も守備の堅いチームはと聞かれたら俺は名古屋を推す。中谷、丸山、ランゲラックのトリオは盤石。更に今季は木本恭生、森下龍矢、長澤和輝、齋藤学柿谷曜一朗ら即戦力を積極補強。ウノゼロの試合が多くなりそうだ。一方でCFは金崎がシーズン前半戦は離脱するだけに質も量も不充分。ここに補強は必要になるだろう。

 

6位:清水エスパルス

 今シーズンのダークホース。今オフは豪華な補強に成功し、権田修一、鈴木義宜、チアゴサンタナ、ウィリアム・マテウス、原輝綺などJ1レギュラー級の選手を数多く獲得。更にC大阪で結果を残したロティーナ監督を招聘した。戦術の浸透に時間は必要だろうがC大阪でロティーナ監督と共にプレーしていた片山瑛一もいる。昨シーズンの主力も殆どが残留しているのでむしろこれぐらいの結果は出さなきゃいけない。

 

7位:柏レイソル

 オフにオルンガが移籍したため攻撃力のダウンは必至。上島拓巳や椎橋慧也などが加わったので中盤からDFラインはより分厚さを増したがアンジェロッティや新たな外国人CF(ペドロ・ラウル?)が早期にフィットしないと難しいだろう。とは言えハマったときの爆発力はJリーグ随一のチームであり、少なくとも上位争いには絡んでほしい。

 

8位:ガンバ大阪

 今オフはチュ・セジョン、レアンドロペレイラ、チアゴ・アウベスなど外国人の補強が中心となった。チュセジョンは合流が遅れるがレアンドロとチアゴは既に合流している。スタート良さそうだけどなんか途中で失速しそう(ガンバサポの人ごめん)

 

9位:サンフレッチェ広島

 柏サポとしてはJr.サントスが割と守備的な広島で横浜FMのように活躍するとは正直思えない。そうするとレアンドロペレイラというスコアラーが抜けてるのは割と響いてきそう。ボランチの層がやや薄いのも気がかり。

 

10位:セレッソ大阪

 戦力的には決して悪くないんだけど、主力の顔ぶれがガラッと変わっている。更に監督も変わっているので戦術の浸透に時間を要しそう。とにかく今シーズンは戦術の修正をする時間が全然無いのでこの点は気がかり。とは言えA.ダガートやチアゴ原川力、進藤亮介と加入したメンバーは豪華。

 

11位:浦和レッズ

 小泉佳穂や明本考浩、西大伍田中達也などが加入、そして徳島をJ2優勝に導いたリカルド・ロドリゲス監督が就任した。昇格チームの監督を引き抜くとかなかなかエグいことをする。一方で長澤和輝や橋岡大樹、エヴェルトン、青木拓矢など抜けてる実力者も多く、レオナルドの去就も不透明。今年も引き続きイレギュラーなシーズンかつ、昨シーズンまでと戦術はだいぶ変わると思うので今季は我慢の時期が長くなりそう。

 

12位:コンサドーレ札幌

 なんかこれくらいかなって。

 

13位:横浜FC

 齋藤光毅や一美、志知、中山克広、小林友希といった若手から中堅のメンバーが割と抜けたけどクレーベやジャーメイン、伊藤翔など獲ってきた選手は実績もあって悪くない。下さんは力のある監督なのでこんな感じになりそう。前線にはパワーのある選手が揃っている。

 

14位:ヴィッセル神戸

 主力は豪華なんだけどサブとの差が激しいという昨シーズンの課題は解消されていない。更に西と藤谷を放出してるのに新加入の右SBが櫻内渚だけなのがよくわからん。イニエスタも序盤戦は離脱しており、そもそも無理はさせられない。チームとして新たなストロングポイントを一刻も早く作り出さないと厳しいかなと。ただ金があるチームなのでヤバくなっても夏の移籍市場である程度巻き直しが出来る。

 

15位:サガン鳥栖

 金監督は優秀だし、田代や飯野、山下などJ2で結果を出してきた選手をピンポイントで補強してきた。だが原川や森下、原輝綺、宮大樹など多くの主力が流出しており現時点では戦力値はダウンしてる。

 

16位:アビスパ福岡

 上島や増山、松本、遠野など昨シーズンレンタルだった選手は多くが退団。残ったのはエミル・サロモンソンだけという結果に。とは言えブルーノ・メンデスや奈良など彼らに変わる新戦力を補強できたのは良かった。セットプレーで強いという明確な武器があるのも大きい。だけどGKとボランチには現時点での陣容では不安が残る。DFラインは盤石なんだが。

 

17位:大分トリニータ

 大黒柱の鈴木義宜、小塚、岩田、田中など攻守の軸が一気に退団。坂圭祐や下田北斗長沢駿などを獲得したがそれでも退団メンバーの穴を埋めるのはかなり大変である。

 

18位:ベガルタ仙台

 新監督に手倉森さんを招聘、更にシマオ・マテやヤクブ・スウォビクなどチームの軸となりそうな外国籍選手は多く残すことが出来た。一方で長沢駿や椎橋慧也、柳貴博など日本人レギュラーはかなり抜けた。特に主将も務めていた長沢の穴はかなり大きい。

 

19位:湘南ベルマーレ

 町野修斗ウェリントン、中村駿など悪くない補強は出来たが戦力値は正直J1でもかなり下の方。更に2019年は16位、2020年は18位とここ2年は降格圏でフィニッシュしている。

 

20位:徳島ヴォルティス

 戦力的なダウンはゼロだがJ1を経験している選手が少ない上に新監督の合流が遅れているのが痛すぎる。

ペドロ・ラウール、柏へ!?

 以前よりJリーグクラブが接触を計っていたというペドロ・ラウール(ボタフォゴ)に柏レイソル移籍の可能性が浮上した。
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 ペドロ・ラウールは24歳、193cmの高さを持つ大型のCFだ。前線でボールを収めることができ、空中戦ももちろん強い。同じく今オフで獲得したアンジェロッティはどちらかというと地上戦に特化したタイプだったがオルンガの代役としてはやや疑問符がつく補強だった。ところがこのラウールは完璧にオルンガの代役だ。おそらく2021年はこのラウールがFWの軸になるだろう。

 

 以前の記事 ※下を参照 で自分はFWの陣容をあまり評価してなかったがラウールが柏に加入すると決まれば評価はAになる。相手との駆け引きと点で合わせる技術がある呉屋、機動力のあるアンジェロ、高さとパワーのあるラウール、推進力のあるドリブル武器の細谷、FWの陣容は一気に厚くなった。https://iwarorox.hatenablog.com/entry/2021/01/30/151052

 

 心配なのが外国籍枠である。保有に関してはいくらいても問題は無いが、出場に関しては5人までという制約がある。このうち1つはキムスンギュで決まってしまうため、残り4つをクリス、ヒシャ、ドッジ、サヴィオ、アンジェロ、ラウールの6人で争うということになる。ネルシーニョには高度なチームマネジメントが求められるであろう。

 

 また仮にラウールが決まったとしてもすぐにチームには合流できない。2/7で緊急事態宣言は解除される予定だがそれでも2週間の隔離措置がある。そもそもラウール及びボタフォゴとの交渉がそれまでに完了する保証も無い。まず間違いなく開幕戦には間に合わないだろう。呉屋はこの時間でどれだけ結果を残せるかが勝負である。

柏レイソルのポジション別の補強診断&戦力収支(後編)

【MF】補強A+、戦力A

 今オフは小林祐介ジェフ千葉に完全移籍、横浜FC期限付き移籍していた手塚康平がそのまま横浜FCに完全移籍、アビスパ福岡期限付き移籍していた菊池大介栃木SC期限付き移籍となった。

 

 一方で新加入としてはベガルタ仙台から椎橋慧也、大宮からイッペイシノヅカフルミネンセからドッジ、RBブラガンチーノからアンジェロッティが完全移籍で加入した。2021シーズンは守備的MFとして大谷秀和三原雅俊、ヒシャルジソン、戸嶋祥郎、ドッジ、椎橋慧也、攻撃的MFとして江坂任イッペイシノヅカマテウスヴィオ仲間隼斗、山田雄士、鵜木郁哉、アンジェロッティの計13名となる。

 

 ボランチは多様な人材が揃った。小林が退団したものの、東京世代の有望株である椎橋を獲得。球際の強さと奪ってすぐに攻撃に繋げられる切り替えの早さが武器。そして補強の目玉と言えるのがドッジである。ゲームメイクも出来て、守備も出来て、自ら運ぶことも出来る。昨シーズンはゲームメーカー型のボランチがいなかったがドッジの加入でそれも解消された。サポーターからの人気も高かった手塚が完全移籍となってしまったのは残念だったがネルシーニョからの評価はあまり高くなかった。こればかりは致し方ないと言える。

 

 攻撃的MFに目を向けると昨シーズンの主力は全員残留。更にイッペイシノヅカ、アンジェロッティという新戦力が加わった。CFの層のことを考えるとアンジェロッティはCFの位置でプレーする可能性が高い。Iシノヅカは生粋のドリブラーである。仕掛ける意識が強く、セットプレーのキッカーも担える。柏のサッカーとの親和性はまあまあ高いだろう。

 

 間違いなく今季も攻撃の中心は江坂である。相手の核をケアしつつ、攻撃を司るプレーは唯一無二。昨シーズンは夏に怪我で離脱してしまったがMサヴィオも復活できれば大きな戦力になる。連携で相手を崩すことに長け、攻撃のペースを変えられる選手である。山田雄士、鵜木郁哉という若手2人の成長にも期待したい。

 

【FW】補強C、戦力B+

 今オフはオルンガがアル・デュハイルに、山崎亮平Vファーレン長崎に完全移籍、期限付き移籍だったジュニオールサントスが広島に完全移籍、村田和哉が契約満了となった。一方でFW登録の新加入選手は無かった。2021シーズンはクリスティアーノ、瀬川祐輔、呉屋大翔、神谷優太、細谷真大という体制になる。

 

 JリーグMVP&得点王のオルンガが抜けたのは当然ながら痛い。昨シーズンのリーグ総得点60の内、約半分の28ゴールを挙げた選手がいなくなってしまった。また前線でボールを収められる力、ある程度ラフなボールでもフィニッシュまで持っていってしまう存在という意味でもダメージは大きいといわざるを得ない。しかしあれだけの活躍を見せたオルンガを柏のクラブ規模で引き止めるのはほぼ不可能に近かった。

 

 おそらくオルンガの穴埋めとして獲得してきたのであろうアンジェロッティは実績がほとんど無い未知数な選手だ。またストライカータイプという選手では無いようなので純粋なCFは呉屋大翔だけになってしまう。アンジェロッティも当然ながら日本への適応にある程度時間が必要になるので呉屋に掛かる責任は昨シーズンより大きくなる。せめて10点は取ってもらわないといけない。

 

 シーズン途中での加入ながら横浜FMで13得点を挙げたジュニオールサントスを戻すという選択肢もあったと思うが、柏であれほど結果を出せてなかったので戻しても活躍出来なかった可能性の方が高かった。年俸面での負担もそれなりに大きかったので広島に売却したのは悪くない判断だった。細谷のブレイクに賭ける方がお財布的にもベターだろう。

 

 FWに関しては明るい話題が少ないがオルンガ&Jrサントスを売却出来たのでかなりの年俸削減&違約金を獲得できた。Jrサントスに関しては0円なのか違約金が入ったのかはっきりしないが、少なくともオルンガは7.5億の違約金を入手できた。この違約金を上手く活用していきたいところである。

柏レイソルのポジション別の補強診断&戦力収支(前編)

【GK】補強B-、戦力A-

 今オフは桐畑和繁FC岐阜期限付き移籍中村航輔ポルティモネンセに完全移籍し、猿田遥己は横浜FCに引き続き期限付き移籍となった。新加入としては大宮に期限付き移籍していた松本健太が復帰し、柏U-18から佐々木雅士が昇格となった。2021年はキムスンギュ、滝本晴彦、松本健太、佐々木雅士の4人体制となる。

 

 日本代表で柏の看板選手でもあった中村航輔が退団したが現役韓国代表のキムスンギュは残留。元々海外志向の強い選手であったのでこの退団は想定内だったと言える。GKというポジションの特性上、J1トップレベル級の選手は1人いれば問題ない。2020シーズン後半はほぼ先発スンギュ、サブに滝本という形だったのでそこまで戦力ダウンになっていない。滝本もルヴァン杯を通してJ1の第2GKとして問題ないレベルにまで成長した。

 

 一方で実績のある桐畑と中村が退団して加入は松本、佐々木という若手2名に留まった。佐々木は年代別代表の常連で高校2年生の時から2種登録されてきたのでかなり期待されてると思うが、まずはプロの環境に慣れるところからだろう。松本も昨シーズンは大宮で故障者続出の影響を受けベンチ入りしたこともあったが出場機会は無かった。4人中3人が23歳以下と年齢バランスがやや若すぎるのが気になるところである。

 

【DF】補強B+、戦力A

 今オフは鎌田次郎SC相模原期限付き移籍期限付き移籍となっていたパクジョンス(→城南🇰🇷)、田中陸(山口)、ユンソギョン(江原🇰🇷)がそれぞれ完全移籍、田上大地が引き続き新潟、杉井が鳥取期限付き移籍、宮本駿晃が契約満了となった。期限付き移籍していた選手の殆どが退団あるいは期限付き移籍となった。一方で新加入は上島拓巳が福岡から復帰、柏U-18から大嶽拓馬が昇格となった。

 

 2021シーズンの陣容としてはCBが大南拓磨、山下達也、上島拓巳、染谷悠太高橋祐治、SBが北爪健吾、川口尚紀高橋峻希古賀太陽、三丸拡、大嶽拓馬という形になる。DFラインに関してはJ1屈指の層の厚さが実現できた。特に昨シーズン福岡でベスト11級の活躍を見せた上島が加わったCBはパワーアップしたと言える。SBも引き続き戦力の維持に成功した。

 

 昨シーズンは特にCBに故障者が続出し、一時期はSBが本職の川口、古賀のCBコンビなんていう形もあった。しかしあれだけ故障者が出るのはかなり運が悪かったとしか言えない。もちろんある程度選手が怪我で離脱する可能性は考慮しないといけないが、今シーズンはさすがにあそこまでの事態にはならないだろう。一方で古賀や川口のCB起用に目処が立ったのは怪我の功名といえる。

 

 マイナス材料としては遅攻の拙さを改善できるビルドアップに長けた左利きのCBを獲得できなかったことである。ブラジル人CBのサビーノ獲得の噂もあったが実現はしなかった。ビルドアップの問題の解決にはもう少し時間が必要になるだろう。また高橋祐治は引き続き離脱中で復帰は早くても5月頃、下手したら五輪明けとなる。

 

 とは言え上島、古賀という柏U-18でビルドアップを磨かれた2人がいるのである程度改善はされるはずだ。この2人は柏の看板選手になってもらわなければならない選手である。仮に古賀をCBとして起用する場合、左利きSBの三丸の需要は上がるだろう。